Q&A. 狂犬病ワクチン
狂犬病は発病すれば100%死亡する恐ろしい病気です。日本では近年発生していませんが、それは島国だからです。大陸の国では先進国でも狂犬病ウィルスが存在します。
海外でイヌに噛まれたら、傷口をよく洗った上で(犬の唾液にウィルスが含まれます)、急いで医師に相談して下さい。これが予防の基本です。
- 暴露後接種 Post-exposure immunization
- イヌに噛まれてから、あわてて予防接種を行う場合、これに該当します。
- 暴露前接種 Pre-exposure immunization
- 狂犬病の流行地に赴任するため、出国前に予防接種を受ける場合、これに該当します。
暴露前接種を受けていても、イヌに噛まれたら、暴露後接種が必要となります。
Q.海外赴任しますが、暴露前接種は必要ですか?
暴露前接種については、Health Information for International Travel, CDC に以下の記載があります。
| リスクの分類 | 典型的な集団 | 暴露前接種 |
|---|---|---|
| 継続的にリスクあり | 狂犬病の研究室の技術者、狂犬病の生物製剤製造に携わっている者 | 基本コース。血清検査を6ヶ月毎に行い、結果次第で追加接種 |
| しばしばリスクあり | 狂犬病を診断する検査室の技術者、洞窟探検家、獣医およびスタッフ、狂犬病が動物常在性疾患となっている地域で動物管理と野生動物の保護に従事している者 | 基本コース。血清検査を2年毎に行い、結果次第で追加接種 |
| たまにリスクあり | 狂犬病の発生率が低い地域の獣医、動物管理と野生動物の保護に従事している者、獣医科の学生、狂犬病が動物常在性疾患となっている地域や、生物製剤などの適切な医療を直ぐに受けることが難しい地域を訪れる旅行者 | 基本コースのみ。血清検査も追加接種も必要なし |
| ほとんど無し | 米国民全体。狂犬病が常在性疾患となっている地域の住民も含む | 基本コースも必要なし |
暴露前接種の要否を決めるものは、
- 赴任先での狂犬病が流行しているか?
- 直ぐに暴露後接種が受けられるか?
地域情報のページを参照して、推奨予防接種をご確認下さい。狂犬病ワクチンが推奨となっていなければ、不要です。ここに推奨と書かれている場合には、基本コースをご検討下さい。
Q.暴露前接種の基本コースについて
上記CDCの指針では、1ヶ月間に3回接種(初回、1週後、3週~4週後)を行うことになっています。そして海外では、この方式が主流となりつつあります。ところが、国内で流通しているワクチンの添付文書には、初回、4週後、6~12ヶ月後に接種を行うこととなっています。
- 海外で狂犬病を発病した患者の統計をみると、暴露前接種も暴露後接種も全く受けていない者が大部分を占める。日本の接種方式でも、狂犬病発病のリスクを下げることは期待される。
- 海外で動物にかまれた場合、暴露前接種を受けた経験があるかが問われる。ここで、1ヶ月間に2回しか接種を受けていない場合、有効な接種とみなされない可能性がある。
わが国の接種方式において、2回目完了時点での抗体獲得状況を調査する必要があります。その結果、十分な免疫ありと判断されたなら、国内方式の正当性が主張できます。不十分と判定されたら、CDCが推奨する方式に統一する必要があります。しかし、このデータは今のところありません。
Q.海外赴任につれてゆくペットに予防接種は必要ですか?
イヌの場合、狂犬病の予防接種は必須です。 今まで受けていない場合には、必ず接種を済ませてから連れて行って下さい。 保健所あるいは獣医師に相談してみて下さい。
Q.狂犬病の予防接種はどこで受けられますか?
ヒトの予防接種は医療機関で実施します。
- ヒト用に認可されたワクチンがあります(当センターにも常備しています)。
- 国内でも、野犬捕獲員、イヌを扱う獣医、狂犬病患者を診る医師、狂犬病ウィルスの研究者などは定期的に予防接種を受けています。
なお、厚生労働省検疫所のサイトで予防接種機関が検索できます。
Q.予防接種の副反応について。
この点については少し混乱があるようです。
- 従来のワクチン
- 動物の脳から作ったもので、副作用として脳炎が問題になりました。 国内では現在このワクチンはなくなっています。
- 新しいワクチン
- 1980年から試験管内で作るワクチンが使用されるようになりました。 これは脳炎をおこしませんが、アレルギー反応が問題になります。 これは予防接種を反復した場合に、起こりやすいと考えられています。