マラリア対策 Protective measure against malaria
1. マラリアの危険を認識しましょう
マラリアは海外渡航者の発熱の原因として最も重要なものです。
- マラリアは珍しい病気ではありません。熱帯・亜熱帯で広く発生しており、年間の罹患者数は3~5億人、死亡者数は150~270万人といわれています。
- 蚊から感染する病気です。ワクチンは実験段階で、現在のところ有効な予防接種はありません。特にリスクが高い場合、薬物内服による予防が推奨される場合もあります。
- 主な症状は発熱です。風邪と思って放置したため手遅れになった例が多いようです。非流行地で発病した場合、インフルエンザや肝炎と誤診された例もあります。
- 薬物治療が有効な病気ですが、治療開始が遅れると、生命に危険が及びます。あくまで目安ですが、24時間以内に医師に相談すること、4日以内に有効な治療を開始することが大切といわれています。
詳細は、マラリア原虫の項をご覧下さい。
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国内での発生状況(熱帯病治療薬の開発研究、平成2年度報告書)
- 毎年約100名が国内でマラリアと診断、治療を受けている(調査対象の医療機関約1,500、アンケート回収率およそ40%)。
- この約30%を占める熱帯熱マラリアについては全例が帰国後1ヶ月以内に発病している。一方、およそ60%を占める三日熱マラリアに関しては、1ヶ月以内の発病は25%に留まっている。
- 渡航目的でみると、観光旅行(25%)、国際協力(10%)、学術・資源調査(10%)が多く、海外赴任者の感染は比較的少ない。海外出張や海外赴任では、商業、林業、漁業、工業、建設、報道などの業種が多く、郊外(辺境の地)に行く場合には特に注意が必要と思われる。
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2. マラリアの危険に備えましょう
マラリアは原因も治療法もよくわかっている病気です。流行地に滞在する場合、以下の対策が必要かつ有効です。
- 流行状況を確認する(International Travel and Health)
- 蚊の対策(昆虫媒介疾患の記事を参照) ←これが最も重要です。
- 早期診断・早期治療(海外渡航者の発熱の記事を参照)
- マラリア罹患のリスクが高い場合は予防内服(chemoprophylaxis)を、早期治療が望めない状況なら自己治療(standby treatment)を検討する。
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- 1週間以内の海外出張
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熱帯熱マラリアの潜伏期は約10日あります。出張期間が短い場合、海外で発病することはありません。帰国後1ヶ月以内に発熱したら、マラリアを疑って、検査・治療を受けて下さい。勤務先あるいは自宅の近くで、マラリアの治療ができる医療機関を探しておくことが重要です。
- 都市部への長期赴任
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海外赴任者の多くは医療機関の集中する都市部に居住しています。この場合、予防内服を選択するより、信頼できる医療機関を調べておく方が賢明な選択です。熱帯熱マラリアに限らず、脳卒中、心筋梗塞、不慮の事故など、さまざまな問題にも対応できます。
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3. 必要なら、抗マラリア薬を入手しましょう
抗マラリア薬は、本来、マラリア患者が医師の監視下で使用するものです。
しかし、旅行者が以下のような使い方をすることもできます。
- Emergency stand-by treatment
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医療機関がない場所で発熱した場合、自己判断で服用する。
- Chemoprophylaxis
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1週間をこえる海外旅行に際して、毎週1回服用する。
国内で入手可能な抗マラリア薬は以下の4種です(2002年2月現在)。
| 薬剤 |
Chemoprophylaxis |
Standby treatment |
| Mefloquine |
○ 週1回250mg内服 |
○ 発熱時1,000mg内服 |
| Doxycycline |
○ 毎日100mg内服 |
× (単独では効果が不十分) |
| Fansidar |
× (重大な副作用が問題となる) |
○ 発熱時に治療量を内服 |
| Quinine |
× (副作用が問題となる) |
× (単独治療では再燃が多い) |
○は一般的な使用法(成人の場合)を示す。×は推奨できない。
あらかじめ旅行者が抗マラリア薬を入手しておくことが前提となります。しかし、
- 薬局は、処方箋の交付または指示を受けた者以外に対して、抗マラリア薬を販売あるいは授与できません(薬事法の規定)。
- 医師は、診察することなく、処方あるいは治療を行うことができません(医師法の規定)。
抗マラリア薬の入手を希望される方は、まずは医師の診察を受けて下さい。
海外勤務健康管理センターの予防接種外来でもメフロキンの取り扱いを開始しました。
メフロキン Mefloquineの使用法
抗マラリア薬の予防処方(国内法の制約)
マラリア原虫