狂犬病 rabies
発病すると100%死亡する恐ろしい病気である。島国を除けば、ほぼ全世界で発生する。 発展途上地域の旅行者は、1ヶ月あたり0.1%強の頻度で動物に噛まれ、狂犬病発症の危険にさらされる。4類感染症に指定されている。
- 一般的予防法
- ○ 人畜共通感染症 。動物に近づかない
- 早期診断・早期治療
- ◎ 動物に噛まれたら、即日中に医師に相談する。
- 予防接種
- ○ 不活化ワクチン。
狂犬病ウィルス
温血動物に広く感染する。ウィルスに感染すると狂犬病を発病する動物と、ウィルスをもったまま発病しない動物がいる。
- イヌはウィルスに侵されると狂犬病を発病する。発症前3日前から症状の続く間、唾液中にウィルスを排出する。狂犬病の症状が出現するとイヌは興奮状態となる。
- 吸血コウモリなどは狂犬病ウィルスに感染しても発病しない。ウィルスは排泄物に出現する。
この他、オオカミ、キツネ、ジャッカル、マングース、スカンクなどにも感染する。
ヒトに感染する経路としては、
- 狂犬病ウィルスに感染し、興奮状態となったイヌに咬まれる(頻度上、最多)。
- 狂犬病ウィルスは粘膜からも侵入する。動物との接触(キスなど)で感染する可能性もある。
- 吸血コウモリの棲息する洞窟で、狂犬病ウィルスに飛沫感染したと思われる例もある。
患者に咬まれて感染する可能性もある。
狂犬病
潜伏期は約2ヶ月(通常2~8週、1年以上経過して発症した例もある)。咬傷部位が頭部に近いほど、そして範囲が広いほど潜伏期は短い(頻度上、足を噛まれる場合が多い)。
最初は、局所の痛み、頭痛、発熱で発症する。しばしば、イヌに咬まれた部位の知覚異常と不安感を伴う。初期にはうとうとした状態であるが、後に興奮状態となる。恐水発作(水を飲もうとすると嚥下筋がケイレンする)、知覚過敏、唾液分泌亢進、筋緊張亢進、呼吸麻痺などが出現する。
治療法はなく、発症したら100%死亡する。海外で動物に噛まれたら、早急に医師に相談すべきである。
狂犬病の発生状況
狂犬病がないと思われる国は島国だけである。北米や西欧でも注意が必要である。
- 患者発生なし
- 近年狂犬病が発生していない。もともとイヌのいない大洋州(オーストラリアなど)とイヌの予防接種が普及した島国(日本、英国など)にはウィルスが分布しないものと思われる。
- 軽度流行地
- 発生頻度は低いが、狂犬病が報告されている地域である。北米や西欧でも、イヌや野生動物の感染は報告されている。ただし、先進国においてヒトの狂犬病はマレである。
- 高度流行地
- 無視できない頻度(およそ年間1件/10万人)でヒトの狂犬病が発生している。大部分は熱帯の発展途上国である。野犬対策が不十分なこと、イヌの予防接種が普及していないことなどが問題と思われる。